ライフスタイル・徒然

人生に悩んでお寺に行ったら、異文化コミュニケーションを学んで帰ってきた話(3)

 

長くなってしまったので、ここからは駆け足です笑

 

<お寺の一日のスケジュール>
3:40 起床
3:50 集合
4:00 坐禅
6:00 食事
6:30 掃除
7:30 休憩
8:00 作務(各種お仕事)
12:00 食事
12:30 自由時間
16:00 入浴
17:30 薬石
18:00 お説教
19:00 坐禅
20:00 就寝

■不思議なお寺の一日 つづき

■入浴〜就寝

お風呂は、当番制。

 

その日の担当が、薪でお湯を沸かします。

 

入浴は16時〜17時半までに自由にできます。

 

薪で沸かし続けているので、
後半になっても、お湯は温かい。

 

10月とは言え、
山の上にあって、
エアコンなんかもちろん無い安泰寺。

 

温かいお風呂はありがたかったなー(^-^)

 

寒い冬に温かいお風呂に入ることが幸せ。

 

エアコンが無い、
暖房が無い、
そう言った空間では、
温かいお風呂がより幸せに感じます。

 

無いことが当たり前になると、
かえって幸せを感じることが増えるんです。

 

お風呂に入ったら、
そのあとは薬石(食事)からのお説教。

 

お説教というのは、正しくは「説法」ですね。
説法=ありがたいお話です。

 

おっさんがいた時は、
正法眼蔵(しょうほうげんぞう)
という本の一節について
堂長さんが話してくれました。

 

安泰寺は、曹洞宗のお寺です。

 

曹洞宗の開祖は道元禅師。

 

道元禅師の書いた本が正法眼蔵です。

 

全部で87巻もあるすんごい難しい本です。

 

正法眼蔵のお話は、
興味深かったけど、
それ以上に面白かったのは、

 

このお説法を

ドイツ語→英語→日本語と3回話してもらえることです笑

ネルケさんすご過ぎ((((;゚Д゚)))))))

 

普段何語で考えてるんでしょうね???

 

ちなみに正法眼蔵は、
日本語でしたが、
日本語というには難解すぎる日本語でした。

こんな感じ。

 

うん、もはや日本語とは言えないレベルの難解さ笑

 

これドイツ人なのに、読んで理解するって、

 

ネルケさんすご過ぎ((((;゚Д゚)))))))

 

お説教が終わったら、
締めくくりの坐禅を1時間して、
就寝です。

 

おっさんは
同部屋の方が2人いました。

 

そのうちの1人は、
ドイツ人で身長195cmのコックさんでした。

 

お国柄だなーと思ったのは、
そのコックさん、寒さに滅法強くて、
基本ずっと半袖でした笑

 

何度も言いますが、
10月でも兵庫の山の上にある安泰寺は、
かなーり寒いです。

 

ある夜なんかは、
多分10度以下の気温の夜に、

 

「暑い!」

 

と言って、
窓を開けて寝てました。

 

おっさんは凍えそうになったので、
部屋を変えて別の空き部屋で寝ました笑

 

うーん、異文化w

 

 

■破産しても、職がなくなっても、生きていけると知った

安泰寺にいて一番驚いたエピソードがあります。

ある日、
いつも通りに修行をしていると、
珍しく来訪者が来ました。

※安泰寺は山の上にあるので、参禅希望者以外はほとんど訪問者いません。

 

その人はTさん。
出家したいということで
ノーアポの訪問でした。

 

驚いたのは、その格好。

 

汚れて真っ黒の顔。

 

同じく黒々と汚れていて、
ところどころ破れている衣服。

 

発散される何とも言えない臭い。

 

明らかに家を失くされている方だなぁと。

 

正直臭いがキツくて、
25歳のまだまだ人間が
できていなかったおっさんは、
ちょっとイヤーな顔してしまったと思います。

 

でも、
そこはお寺。

 

ネルケさんはTさんに
参禅者が置いていった衣服を渡して、
お風呂に入ってもらい、
食事を与えて、

 

その日から一緒に寝泊まりをすることに。

 

おっさんは、
このことに大きな衝撃を受けました。

 

子供の頃、
複雑な家庭で育ったおっさんは、
1人で生きていく力を持つことが、
人生の最優先課題でした。

 

17歳の頃、家を出たおっさんは、
超極貧生活をしてました。

 

1日に使えるお金は、200円。
家賃3万円の風呂なしアパートに住みながら、
バイトをして何とか食べていました。

 

生活費を賄うだけで精一杯で、
学費が払えなくなって、
高校を中退しました。

 

それからなんとか、
アルバイトで貯めたお金で
パソコンを買って、
ITの世界で食べることが
できるようになりました。

 

そんな感じで生きてきたので、
貧乏に戻る恐怖や職を失う恐怖は
人並み以上です。

 

職を失っても
生きていける自信はつきましたが、
やっぱり恐怖感はあります。

 

そんなおっさんにとって、

 

本当に食えなくなったら、ここがある。

 

と思えたんです。

 

世の中にこんな場所があるなんて、

 

思ってもみませんでした。

 

なんだか、生きてゆく上で、

 

すごく気が楽になったのを覚えています。

 

 

■編集後記

今考えると、
寺に修行に行くって、
普通はなかなかやらないこと。

 

未だにお寺に修行に行ってた。

 

というと、
いい話のネタになります笑

 

寺で修行したと言っても、
悟りなんかは全く開けませんでしたし、
それまでと同じく、
わがままで
自分勝手な自分のままでした。

 

特に何かが変わったという実感は
ありませんでした。

 

でも、
人生にとって、
とってもいい経験だったのは確かです。

 

・長時間自分と向き合う坐禅
・寺での食事の作法
・薪割りなどの珍しい経験
・世代も性別も国籍すら異なる人たちとの共同生活
・無いことによって認識する幸せ
・初対面でインパクトのある話のネタw

 

あらためて振り返ると、
こういうチャレンジは
しておいて良かった。

 

むしろ、
もっとしておけば良かった。

 

というわけで、もうおっさんではありますが、これからもっと面白い経験をするために、時間を使っていきたいと決意します(^-^)

 

おわり

 

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それでは、それでは。

<関連リンク>

安泰寺

The most dangerous man in the world is the contemplative who is guided by nobody. He trusts his own visions. He obeys the attractions of an interior voice but will not listen to other men. He identifies the will of God with anything that makes him feel, within his own heart, a big, warm, sweet interior glow.